米国オハイオ州のクリーブランド美術館は、作品と会話できる体験型ギャラリー『ArtLens Reimagined』を7月28日に一般公開します。来館者の質問を文字に起こし、作品の情報をもとに答える『Talk to the Art』などを用意。美術館では普通、人が作品を見ますが、今回は作品側にも発言の順番があります。
別の体験では、来館者のポーズや手の形を所蔵作品と照合します。両手の間隔から、そこへ収まる実物大の作品を探す仕組みもあります。複数の風景画の隙間をAIで補い、一続きの景色にする展示も登場。完成した絵だけでなく、絵と絵の『間』まで展示材料になりました。
さらにラファエル・ロサノ=ヘメルの作品『Binocular Tension』では、画面に映る二つの目がセンサーで来館者を追います。誰が見る側で、誰が見られる側なのかを問い直す作品です。低視力の人にも追跡を感じられるよう、上から赤外線の熱を伝える機能が加えられました。じっと鑑賞するつもりでも、向こうもじっとしています。
美術館は、使用するAIを外部サービスへ丸投げせず、すべて館内で稼働させると説明しています。学習対象も同館の作品に限定し、生成内容には学芸員の確認を入れます。2012年に始まったArtLensの3代目は、AIに展覧会を任せるのではなく、作品へ近づくための案内係として使う設計です。