台湾中央部の玉山国立公園に暮らすサンバー、タイワンカモシカ、キョン。体重は最大約180キロから約12キロまで大きく異なり、好む植物も違います。それでも密林の中では、3種とも『だいたい一人』で行動していました。

東京農工大学などの研究チームは、2024年の雨季と乾季に登山道を夜間調査しました。強いライトと熱を捉える装置を使い、合計54.4キロを歩いて197回の遭遇を記録。各種とも67%以上が単独で、平均の集団サイズは1.4頭以下でした。季節による大きな違いも確認されませんでした。

草原に暮らす有蹄類では、体が大きく、まとまって生えるイネ科植物を食べる種ほど大きな群れを作る傾向があります。広い場所では仲間と一緒にいることで捕食者を早く見つけられます。一方、木が茂って見通しの悪い森では、集まるより一頭で隠れた方が都合がよい可能性があります。

もちろん、ずっと誰とも会わないわけではありません。親子や雌雄のペアも観察され、サンバーでは複数のメスが集まる例もありました。ただ、基本の姿勢は単独行動。密林では、体の大きさよりも『見つからないこと』が生活の形を決めているのかもしれません。