トルコ南部のウチャーズリII洞窟で、ネアンデルタール人と現生人類ホモ・サピエンスの化石が同じ遺跡から見つかりました。京都大学、国立科学博物館、トルコやフランスの大学による国際研究チームの調査です。発見された現生人類の化石は約6万~5万年前のもので、記録が少ない時代の空白を埋める成果になりました。
洞窟に残された資料を調べると、二つの人類は同じ方法で石器を作り、似た食料調達の方針を持っていました。その共通する文化は2万年以上にわたって安定して続いていたと研究チームはみています。別々の人類が、同じ場所で暮らし方の基本を共有していた可能性が浮かびました。
さらに目を引くのが、小さな貝殻です。両者は食用にならない特定の種類の貝を集めていました。食料にも道具にもならない自然物を選んでいたことから、研究チームは交流の土台に『役には立たないが美しい』ものを好む共通の価値観があった可能性を考えています。石器よりも静かな品ですが、人の気持ちに近い手がかりです。
国立科学博物館では9月6日まで、この研究を紹介するNEWS展示を開催しています。ネアンデルタール人の子どもの下顎骨レプリカや巻貝のビーズ、発掘現場の映像などを展示します。遠い昔の二つの人類を結んでいたかもしれないのは、大きな発明だけでなく、持ち帰りたくなる小さな貝でした。