米サウスダコタ州の地下研究施設SURFに、NEMESISという新しい実験装置が入りました。設置場所は地下4850フィート、約1.5キロの研究区画です。名前は映画の宿敵らしいのですが、担当するのは世界征服ではなく中性子の数え直しです。

地下では厚い岩が宇宙線を遮るため、暗黒物質など非常にまれな現象を探しやすくなります。それでも高エネルギーの宇宙線ミューオンが物質の原子核へ当たると、ビリヤードの球が散るように多数の中性子が生じます。この背景信号が、探している現象のようにデータへ現れることがあります。

NEMESISは複数の中性子検出器で、その発生回数やまとまり方を測ります。計画では4850フィート地点に加え、より地表に近い1700フィート地点にも同型の装置を置きます。深さによって宇宙線の量が変わるため、2地点を同時に比べれば信号の正体を絞り込みやすくなります。

名称は「NEutron MEasurementS In SURF」の大文字をつないだものです。以前は別の長い英語名でしたが、SURFへの移設に合わせて意味も引っ越しました。暗黒物質の手掛かりになる可能性はまだ仮説で、まず行うのは地道な背景測定。名前だけが、ひと足先に最終決戦です。